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2008-05-07 Wed [つれづれ]
我がこころ癒やすビージーズ流るるイヤホンの向こうから
「お疲れ様ですぅ!」の声。 そこには髪の長い、眉のしっかりした、たまご型のやや古風な顔があった。 ぎりぎりで相手を不安にさせないくらいの親しみを残して、表情が固まる。 だ、だ、だれだ?だれなんだ!? 見たところかなり若い。 全くもってコレと行き当たらない。 しだいに正直者の僕の顔に困惑の色がくっきりと。 ここからは瞬間芸の綱渡り。 よーいスタート! 困惑を相手には悟られるまい。 とりあえず「あ!」と思い出した風を装う。 いや装うというか…。 これは作戦なんかじゃない。 “つい”だ。 と同時に、明るく安心したような顔を作ってみせる。 帳尻合わせだ。 すると彼女、 「この前はお世話になりました」 お、新たな情報! ギブ&テイク、等価交換だな。 しかしむむむ? この前?この前っていつ?どこで?お世話? 疲労あたまをフル回転。 と、同時に、 気まずい沈黙を埋めようと、相手が誰なのかも分からないまま 先ほど同様“つい”口走ってしまう。 「あ、なんか、こんな姿(でっかいバッグを背に疲れた顔して地元スーパーにて買い物中)をお見せしてしまって…、なんか……」 無難だ。 いや違う。微妙だ。てか訳が分からない。 姑息すなわちその場しのぎとは、まさにこのこと。 「いえいえ」と彼女。 お!? やった。話が通じた。 いや、通じたと言うより流された? 彼女の横には彼氏らしき男子。 真意は掴めないが、彼はちょっとムッとしている。 そんなこと気に留めてなんかいられない。 ひどく疲れてる僕は、ともかくこのささやかな困難から逃げ出したかった。 だもんで、そそくさと別れのひとこと。 「あ、じゃあ、また、お疲れさまー」 の! の、言葉の途中で、膝は打たずとも「はたーっ!!」 へっぽこ頭脳のディレイな働きにより、彼女の正体が判明した! 2月に母校のサテライト公演に出たときに、 受付を手伝ってくれていた一年生の女の子の一人。 あのとき彼女は、羽織に袴姿で受付係。 お世話した覚えは全くなく、むしろお世話になりました。 覚えててくれて、しかも声を掛けてくれたなんて、嬉しいことだな。 昔好きだった人に少し似てるな、と思った子。 彼氏と思しき隣の男よ、もしそうなら大事にするんだよ。 別れ際の振り返る一瞬に、そんなことを思った。 約10秒のできごと。
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